前回の記事では、「それなりにフォームはキレイで無駄がなさそうなのに、タイムはイマイチ」というケースについて書きました。(参考:「フォームはそれなりだけどタイムはイマイチ・・・。素早い動きを司る”神経回路”を鍛える練習法って?」)
今回はその続きとして、
「勢いはすごいけど、フォームがイマイチで思ったより進まず、後半すぐバテてしまう」
というケースに対する練習法をまとめたいと思います、
が、
まあ正直なところ、オチはけっこう読めちゃっているんじゃないでしょうか?
解決策は
「良いフォームを維持したまま、ダッシュ練習をする」
これ択一!!!
それができれば苦労してねーよ!!!!!!
というかんじですよね!
ゆっくり泳いでるときはそれほどバチャバチャしてるだけの泳ぎだってわけでもない人が大半でしょうから、なおのことです。
なんでダッシュとなると途端にバチャバチャになっちゃうの?
それはきっと、がんばろうとしすぎて、リキんじゃっているからです!
もう少し丁寧に言うなら、「全部に力が入っているから」でしょうか。
ダッシュ練習になった途端、脳から筋肉への「とにかく全力!!!」の命令が強すぎて、普通に泳いでいるときなら気にできている「頭を入れすぎない」「指先から入水する」「足をそろえる」などの他の命令が、かすんでしまっているんです。
がんばろうという意思がタイム向上の邪魔をする・・・因果なものですね・・・
でもじゃあ「力を入れないでダッシュ」なんてできるわけがないですね!
そこで、できるようになりたいのは、「”一部にだけ”力を入れてダッシュ」です!
”一部”を積み上げていけばそのうち”全部”になるっていう発想
たとえば、25*4のダッシュを毎日やるとしましょう。
サークルは長めがいいですね!
私だったら2’00くらい取っちゃうかも。ていうか間にeasy挟んじゃうかも。
で、1日目はひとまず「頭を入れすぎない」のみに重点を置くんです!
他はただバチャバチャしてる効率の悪いフォームでもいいです。構うな!とにかく頭の位置だけ意識してダッシュ!特に浮き上がりの瞬間は大事だ!かといってラスト5mも気を抜くな!
ダッシュとなるとタイムが気になるところですが、多少タイムが落ちていたとしても、慣れないフォームで泳いでいるのだから当然のこと。気にする必要はありません。理想的な頭の位置をキープしたまま全力で25mを泳ぎ切れたら、それで満足!おめでとう!レベルアップだ!
その日は達成感で胸をホクホクさせて帰りましょう。
それほど意識しなくても頭の位置をキープできるようになったら、次は同じ調子で、水面に叩きつけるだけになってしまっているキャッチの改善に挑戦です!
マスターズスイマーの多くが、レースになるとパワーに任せてとにかく腕をガシャガシャ回すことに終始してしまっているように見受けられます。ひっじょ~~~にもったいない!!!てのひら全体で着水してません?ちゃんと指先→手首→肘の順番で入ってます?どんなにダッシュしてても水中映像で見ると入水時の指先にひとつの泡も付いていない超一流選手になったつもりで泳ぐんです!ほら!できる!やれる!イメージが大事!
その日はイアン・ソープになったつもりで帰りましょう。
10回も練習を積めば、ダッシュ練習の中で「頭を入れすぎない」と「指先から入水」に、そこそこ意識が向けられるようになってるんじゃないでしょうか。
もしそうだったら、それだけでももう大勝利ですよ!
あ、クロールの話ばっかりしちゃいましたけど、例えば平泳ぎだったら「キックのフィニッシュで伸びる」「足を揃える」とかでしょうかね。平泳ぎは家訓で禁じられてるんであんまりわかんないですけど。
ここまで来たら、一度振り返ってみてください。
今まで、25mダッシュのときに、「頭の位置を意識しよう」とか「指から入水しよう」とか、意識なんてできていたでしょうか?
たぶん、できていませんでしたよね。
とにかく全力!!!ばかりに意識がいっていたので、そこまで考える余裕がなかったのではないでしょうか。
はい!免許皆伝!
もう、周りの一般スイマーとは、泳ぎの無駄のなさでだいぶ差がつけられたんじゃないでしょうか!?
頭の位置が上がり、指先から入水できるようになったことで、同じ25mダッシュでも、抵抗が減り、少ないストロークでこなせるようになっているはずです。
無駄な体力を使わずに済んでいるわけですから、ターンして折り返してきても、今までほど大きくバテてしまうこともなくなります。
また、体力を使わない=酸素を使わないですから、呼吸の数も減り、呼吸時に頭が動くせいで身体がブレることも減ります。
つまり簡単に言えば疲れにくくなっているので、あとはその持ち前のパワーでダッシュしまくってください!
ただ、覚えておいてほしいのは、前回の記事同様、1日や1週間という単位でできるようになるのは大変難しい、ということです。
今までにない神経の使い方をするわけですから、最初はいつもより余計に疲れますし、思うようなフォームで泳げるようになるにはやっぱり、1ヶ月とかそれ以上はかかると見込んでおいたほうが正解かと思います。
覚えておくと気が楽なのは、全身に力を入れて100%の全力で泳いでも、腕の入水の位置だけに意識を向けての95%の力で泳いでも、そこまで大きくタイムは変わらない、ということ。
そりゃ、ちょっとは変わりますよ!
レース本番での最後のタッチの差を決めるのはその5%の差だとも思います。
でも、それは壁に貼られたクロックの目視では判断できない程度の小さな差なんじゃないでしょうか。気にするのはレースが近くなってからで問題なし!
ということで、
△ ダッシュ=「とにかく全力!!!」
◎ ダッシュ=「頭の位置を高く維持したまま回転を上げて大きく泳ぐ」
というように、具体的な言葉に変換できるようになれれば、かなり楽に速く泳げるようになれているはずです。
荒い泳ぎのガシガシスイマーが、パワーを活かして大きくスマートに泳げるようになったとき。それは、私のような、なんちゃってフォームばっかり見かけ倒しスイマーの終焉のときです。こわいね!
最近はどこのスイミングクラブでも、月1程度でビデオ撮影込みのレッスンとかやってたりしますから、定期的に自分の泳ぎを見てみてもいいかもしれませんね!
[ad#rec300]