速い人のドルフィンキックって、ダウンキック(蹴り下ろし)の直前の体勢、大体こんなかんじだと思うんですよ!(※1)
でも、マスターズは大抵こんなかんじで、腰から上をうまく動かせず、股関節から下だけでなんとかして蹴ろうとしちゃいがちだし、
ははーん、もっと上半身を使えばいいんだな! とがんばっちゃってやりがちなのがこう。(数年前の高瀬がこれ)
…という法則を最近、見つけました。
なんで②とか③みたいな動きになりがちなのかな〜ってのを考えた話をします!
※1:いやもう少し膝を効かせた(曲げた)ほうがいいだろとか、その状態のときには上半身はもう次のキックへの動作に入っていないと遅いだろとか、そのへんの超上級テクは今回の主旨から反れますので(速いキックを打つには? という話ではないので)大胆にカットです。ただ、腰はもうちょっと浮いててもよかったなと後から思いました
簡単にできるのなら全員とっくにオリンピック出てるわ
まず先にお伝えしておきたい…
「今は②とか③みたいなキックしてるマスターズスイマーだけど、コツをつかんで明日からさっそく①になりたい!」は、ほぼ100%不可能だと感じています。
理由は、①実現のためには、全身の柔軟性、筋力(ムキムキなマッスルではなく、自分の身体を自在にあやつるための神経、って言ったほうが正しいかも)、水感などの、養うのにどれも月〜年単位で努力が不可欠の要素が必要だと思うからです。
あ、「明日からさっそく①」が難しいだけで、時間をかければ①に近づける、とも思ってますよ!
可動域はそんなにすぐには広がらない
①みたいな動きをするには、まず、身体が柔らかくないとできないんです。全身柔らかいのは当然として、特に股関節や腰周りの筋肉の柔軟性は必須なのではないでしょうか。あ、背中も大事だって聞いてる。胸も。全部か。
固い人が無理に①のように“腰を落とそう”としても、ストリームラインを崩して頭を水面から出すとか、膝を思い切り曲げるとかしないと、難しい。
で、さらに、マスターズスイマーあるあるとして、初心者は大抵「キックは脚の付け根から動かしましょう」と教わります。そうすると、②のような動きになるのは自然な流れだと思うんです。ちゃんと脚の付け根から動いてるじゃんね…!?
うねればいいというものでもない
「なるほど、自分は脚しか動いてないからダメなのか! もっと上半身から動かそう!」と目覚めるものの、方向性を間違えている図が、③です。
身体全体が動いているので、柔軟性のある動きに見えるのですが、背中が丸まり、指先が下を向いてしまっていて、キックの推進力を上半身が打ち消してしまう。イルカみたいな一発でグイーッと進む力強いキックが打ちたいのに、実際はウミヘビみたいにその場でヒラヒラうねうねしてるだけ、みたいな。
ただ全身を柔らかく使えばそれでいいわけではなく、「全身のしなりをうまく足先まで伝えさせる(※2)」という発想が必要であることに気づきます。ということは、筋力も必要なわけだ! 脚だけでなく、腹筋とか背筋とかのいわゆる体幹部分を使う必要がある(ことが私も最近ようやくわかってきた(できるとは言ってない))みたいだぞ!
…というところまで到達できたとしても、体幹を使うことを意識して泳ぐことなんて、普通の人、できない。できないよ。
陸上でだって難しいのに、水中にいて、手を回したり脚をバタつかせたりしなくちゃいけない最中に、今、腹筋はどうですか? 広背筋は? 腹斜筋は使えてる? なんて言われても、意識の仕方すらわからないのが普通。
しかもたぶん多くのマスターズスイマーは、水中でバランスを取りたいと考えたときに、手か頭を使ってしまうものだと思います。モノフィン履くと大体みんな最初はまっすぐ泳げないやつがこれ。ストリームライン組んで脚も揃えたまままっすぐバランスを取り続けるのって、意外と難しいことです。
「手」「腕」「脚」以外の部位をどれだけ、しかも「水中で」使いこなせるかというのは、年月がかなり必要な問題であるように思います。
※2:もっと言うと、「上半身で作ったしなりを、腰で増大させて、脚へ伝える」なんて言いかたをする人もいます。その通りだな〜とは思いますが、普通の人がいきなりそれをやろうとしても、混乱するか、腰を振りすぎて痛めるのが先な気がするので、段階を追って実現させればいいと思います
脚をただ力強く動かせばいいわけでもない
あとはなんかもう個人的な感覚になっちゃうんですけど、「水を捉える感覚」を養うのもまた、難しいことだなあと最近感じました!
例えば、プールサイドから上がりたいとき、手をプールサイドのふちにバンッ!と付いて「上がる!!!」ってやるだけじゃ、ふちを叩くだけで終わってしまうじゃないですか。「手をつく」→「力を込める」→「肘を伸ばす」で上がれるわけで。ダウンキックも、「蹴る!!!」だけじゃなくて、「足の甲で水を捉える」→「だんだん力を加える」→「最後に蹴りおろす」で進む、みたいに分解して私は感じているのですけれど。
ただこの、足の甲に水を感じるというのも、私はフィンスイミングを始めて5年くらいでようやくわかってきた感覚です。周りのマスターズスイマーの何人かにもフィンを履かせてみましたけど、一発で足の甲に当たる水の存在を感じ取れる人はおらず…。そりゃね…こればっかりは練習量と思考量よね…。
マスターズは何十年もつきあうもの。じっくり行こう
いろいろと書きましたが、「だからマスターズにカッチョええドルフィンキックなんか無理なんじゃ! 残念〜!」と舌を出したいわけではないですからね!!笑
自分の身体を思い通りに動かすのって、できるようになるまで時間もかかりますし、複数の要素が絡んでるし、正直、歳を取ってしまうと本当にできないこともあるかもしれません。が、別に「手から波動を出せ」とか「自分の影を操れ」とか言っているわけではないので、近づけることはできると思っています。もしくは、できないならできないなりの泳ぎを探してもいいはずです。20歳のオリンピアンと80歳のおばあちゃんが同じ泳ぎである必要がないのと一緒です。
私も、今さらながら、ストレッチを見直しています。こういうのとか。
★ ストレッチポール公式ブログ|今日から脚が軽くなる腸腰筋ストレッチ5選+α
「かかとに手を添えるように」とあるけど、理想を言えば、腕はストレームライン取ったまま、ぐりぐり捻られるようになりたい。全然できない。でも、このストレッチを身体にさせたことがないからできないのであって、続けていれば少しはできるようになるかなと気長に構えています。じっくりやってこ〜!
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