ストリームラインの頭の位置の考察あれこれ

先日、水泳経験に約20年のブランクを持つ夫クンがマスターズ水泳大会初挑戦を決めた際、初心者がいちばん重要なのは姿勢だろうということで、SLK(ストリームラインキック:ストリームラインを組んだまま水面でバタ足。要はグライドキック)の練習を何度か取り入れてみたわけですが、そのときの気づきのひとつをメモ。


まずはじめに:基本姿勢の確認

正直私もストリームラインについてはあんまり深く意識をしたことがなかったのですが、つい最近、フィンスイミングの先輩に言葉として教えてもらって、なるほど〜!目から鱗〜!となったので、教えてもらったままに書きます。笑

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・耳の後ろに腕がくる
・顎は軽く引く
・真下よりもうちょっと下側に視線を置く

「耳の後ろに腕」はわかりやすいのでいいとして、ちょっと気をつけたいのがその他の2項目。


「顎を引く」とは

×:顎が胸に付くくらいに顔を下に向ける
◎:顔は正面を向いたまま、首全体を後方に引く

です。

ちょっとよくわからない人は、「一度、首ごと真上を向いたあと、頭を起こす」の手順で動かしてみると、それっぽくなるかと。

こちらのツイートがわかりやすいですね〜!
https://twitter.com/kogoe_0/status/559333785565544451


視線は真下より更にちょい下

そのほうが、腹筋に力が入り、キックが打ちやすくなるためです。
やや前方を見る人も少なくありませんが、そうすると腰が反りやすくなって、キックが打ちづらかったり、頭が出ているのにお尻や脚が沈んでいる状態になりがちですので、もし心当たりのある方は、視線を下に向けてみるといいかもですよ。

(視線をやや前方に固定する泳法は、10年前くらいの泳法教本では主流の考えかたでしたので、その知識で今も泳ぎ続けている人は多いのかも。かく言う自分もそうだったし)



ちなみに私はこれを心がけたところ、バタフライがターン後でも楽に10mくらいまでドルフィンキックで潜水できるようになりました!すげえ!今まではすぐ苦しくなって3蹴りくらいしかできなかったのに!


ストリームライン時の頭の位置問題

さて、話は変わって、ストリームラインあるあるの話。

私は学生時に水泳部のコーチをしていたときのクセもあり、冒頭の夫クンのフォームだけでなく、いつも練習しているメガロスの面々や、そのへんの市民プールで泳いでいるオジサマなど、気づけばいろんな人のフォームを目で追っていることが多いのですが、ストリームラインを組んだときにありがちな頭の位置ランキングベスト3(当社比)は、こんなかんじ。


3位:完全に前方を見てる

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おじいちゃんにありがち。

完全に前を見ているせいで、水を顔面で受け止めて抵抗になっています。
腰も落ちやすい姿勢です。

ちなみにこういうストリームラインのおじいちゃんスイマーは大抵、「枯葉泳法」です。

※枯葉泳法とは:まるで小川をたゆたう枯葉のように、沈まない程度に浮き、そよそよと手足を動かして、ああ〜、なんとなく進んでるかな〜?…んん、ターンしたぞ…?まさか…それで何百メートルも泳ぐの…?すごいですね…!?的な、年配スイマーによくある泳法に対する、高瀬家独特の呼称。ちなみに大抵、日本新記録を叩き出す。すごい。


2位:下を通り越しておへそ見てる

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ついつい力んじゃう、パワー系スイマーにありがち。

頭の上に水が乗ってしまうため、身体を水面に乗せられず、スピードに繋がりません。
スムーズに浮き上がりにくいので、スタートで失速してしまうことも。
そしてこの姿勢の人は大抵、力みすぎているがゆえに、キックに合わせて上半身ごと回転するようにブレがち。


1位:耳が腕に挟まるくらいの位置

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大変よく見ます。ビードル並みの生息率です。
スタート時は良くても、息の苦しくなってくるターン後だとこうなっちゃう、って人も。

気持ちはわかるんです。
この姿勢、「それほど力を入れていない」のに「それっぽく見える気がする」んですよね。

しかし、見た目はさほど頭が出ていないように見えても、実際、この姿勢で泳いでみると、やっぱり頭がぽっこり水面からコンニチハしていますよ!水面に頭が出ているかなんてなかなか感覚ではわかりにくいところなので、機会があればビデオ撮影をしてもらうことをお勧めします。

「頭が出ている」という点では3位の枯葉泳法と同じ意味なので、この姿勢だと、腹筋に力が入らずキックが弱くなっている、頭が出ているので抵抗になっている、ということになるでしょう。



頭の位置ひとつで、奥が深いよね〜!


ドリル練習で直してこ!

ストリームラインは、力加減が難しいのです。
力を入れすぎると、頭も入りすぎるし背中も反るし腰も沈むし。
かといって楽すぎる姿勢だと、頭が出てしまって抵抗だし腹筋に力が入らないしキックが浅くなる。
コーチに頼んだり、ビデオを使って、客観的にチェックしていくのがいちばんです。

もしドリルを取り入れるのなら、こんなかんじかと!


顔付け板キック

キック板にてのひらを置き、顔を水に付けてキック。苦しくなったら呼吸してね。
ストリームラインの練習ですから、腕はしっかり伸ばしてくださいね!

これをやると、頭を入れすぎがちな人は、キック板がグラグラと左右交互に沈むのが感じられるかと思います。ハイそれ!それです!それ、身体がブレている証拠!キック板が水面をススーッと前進できるよう、肩や首の力加減を調節してください。

もしくは、頭が出てしまう人は、このドリルだとキックが沈みがちではないでしょうか。キックが沈む原因は他にも「背中が反りすぎてる」「ダウンキックばっかりがんばってる」「膝が曲がってる」なども考えられるので一様に言ってしまうのはちょっと乱暴ですが、それでも、耳の後ろに腕がくるくらいまで頭を沈めると、キックがちょっと楽になることは間違いないですよ。


サイドキック

真右・真左を向いて、キック。
腕は、片腕だけ前でも、両腕とも前で組んでも構いません。
また、潜水でも水面でも構いません。
もっとも一般的なのは、下にくる片腕だけ前&水面、ですね。

サイドキックでまっすぐ進むためには、

・頭の向き・位置が適当か
・全体の姿勢(腕や背中が反っていない、お腹が丸まっていない)
・アップキックとダウンキックの幅が均等か

など、けのび+潜水キックで重要なポイントをすべてクリアする必要があります。真剣にやると結構頭を使うので、やりごたえがありますよ!


毎回のスタート・ターンを大切に

特別なドリルを取り入れなくても、水泳はすべてのメニューにおいて、壁を蹴ってストリームラインを組むことからスタートします。「メインメニューのところだけがんばろう」「今日はキックが板無しだから試してみよう」など区切りを設けてもよいので、常に意識し続け、無意識レベルに落とし込むことが大事です!


マジでタイム変わるからやってみ!

途中でも書きましたが、潜水の距離が伸びますし、浮き上がりがスムーズになりますし、キックが効いてるかんじが増しますので、うまくハマればタイムも変わってきます。マジで。一度は見直してみる価値のある部分です!



なお、載せた写真に関しては、ほんとはプールサイドで水着を着て撮影すりゃ見栄えもいいし姿勢が更にわかりやすいんでしょうけど、わざわざ撮影しに行く環境もないし、めんどいし、インターネットに水着写真をデカデカと載せる勇気もないので、ジャージで撮影しました。

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