クロールでコーチや仲間から「最後まで水を押しましょう!」とよく言われる問題、もしくは人によっては「押し切らずに肘から抜いちゃいましょう」と言われる問題について!
「押し切る」のよくある惜しいパターン4選
そりゃ最後まで押し切ったほうがストロークの距離が稼げるのでいいに決まってるんですけど、「押し切る」ばかりが先行すると、こんなふうになりがちなので注意です。
頭で反動を付けちゃう「鳩泳ぎ系」
腕に力をこめる際、首を前に出したりお腹を丸めたりして、フンッ! と勢いをつけてフィニッシュするパターン。ああーよく見るー!_(:3 」∠)_
パワーに自信のある人がやりがちですが、これは結局、頭の動きの反動のせいで、手が後ろではなく上に跳ね上がってしまいますから、無駄なパワーです。頭の動きで抵抗も増えるし。お尻もぴょこぴょこしがち。呼吸で頭を上げると頭の反動が使えなくなるのでそれまでの勢いがピタッと止まるのも、このパターンで泳ぐ人の特徴。
鳩の亜流「トカゲ泳ぎ系」
これは生真面目な人にありがちかなー?
より遠くまで水を押し込もうとして、上半身が腕についていってしまうパターン。わかるぅ〜わかるよぉ〜たしかにそうしたほうが手の位置自体はさらに後方に届くもんねぇ〜! でもこれも、上半身が左右に揺れてしまうので抵抗を生み出すだけなんだなぁ〜!!!( ;∀;)
上orお尻の後ろに跳ね上げる「おほしさまキラキラ系」
これは私です笑
ベクトル考えろよ!!! 上に跳ね上げてるってことは!!! 後ろじゃなくて下への力がはたらいてんだよ愚か者め!!! 跳ね上げた反動で頭が潜ってしまう人もしばしば見られます。若めの女の子に多めなイメージ!
もしくは跳ね上げた瞬間の肘の伸びてる感で「水を押した気」にだけなって、実際は肘を軸にして抜いちゃってて、空気だけを押してる可能性も大です。愚か者め!
脇をぴったり閉めて一時停止する「軍官さん系」
パワーに頼れなくなってきたシニアマスターズに多いかな? 押し切ったことを確認するかのように、ピッ、ピッ、と片手キックの瞬間が挟まるやつ。んんん〜ドリルじゃねえんだわ〜〜〜!(白目)
そうなっちゃうくらいなら押し切らせないほうがいいって考える人もいるけれど
押し切ることにばかり意識がいっていると、こんなかんじで
・頭や上半身が左右前後にブレがち
・後ろじゃなくて下に押しがち
・手が後ろで止まりがち
・(手が止まったり余計に疲れたりするから)回転が上がらない
的なことが起きがちで、すると、すぐに結果を出したいコーチなんかは「どうせ最後まで押そうとしなくても押しちゃうもんですし、意識としてはおへそを越えたあたりで肘から抜いちゃって、そのぶん回転でカバーしましょう! ◯◯さんはスプリンターですしね!」とか言ってくれちゃうことがあったりします。バッカモーン! そんな短期的な指導が蔓延ってるから高校大学卒業と同時に「水泳はもういいかな…」って辞めちゃう子が後を絶たないんだよもっとじっくり向き合え! 別に学生のうちにその子の人生のトップスピードが来なくてもいいじゃん25歳でも30歳でも今はたくさん日本選手権出てるぞ…!
あ、ちなみに、
よく「親指が太ももをこするくらいまで後ろに伸ばしましょう」も聞きますけど、それが文字通りに正解なのなら今頃、どのトップ選手の両太ももを見ても、親指の爪やらパドルやらがこすれた跡が残っていることになりますからね…。イメージの問題です。
ではなぜ自分は「最後まで押せ」と言われちゃうのか
たぶんですけど、「入水からフィニッシュまで手の動く速度が常にだいたい一定なので、ストロークで進んでいるように他人からは見えないから」が濃厚です。なぜなら私がそうだから!笑
過去最高にわかりにくい図を産み落としてしまいましたが、グラフにするならこの青線のようなかんじです。
赤線のように、手が胸の横を越えたあたりから意識して手の動く速度を上げられたら、わざわざ頭を振ったりリカバリーの手を跳ね上げたりしなくても、身体の周りを流れる水のスピードが変わるような感覚が得られます。パドルを使えるのならパドルでやってみて! 今までいかに抜くことばかりに特化してきたからわかるから笑
ただ、気をつけておきたいことは、トップ選手が回転だけに頼らず1ストローク毎にグッと進んでいるのは、フィニッシュに力がこもっているからだけじゃなくて、キックとのコンビネーションが上手いとか、前への体重移動が上手いとか、ボディポジションが良いとか、いくつもの要素が噛み合っているからだということ。それを安直に「あの選手がひとかき毎にグッと進むのは、最後まで押し切っているからだ! 肩が強い!」と捉えてしまうと、冒頭のように「最後まで押して〜」の発想になりがちかと思います。日本選手権が終わったばかりで新鮮な動画がまだあちこちに転がっているはずですので、いくつか拾って観察してもらえればいいんじゃないでしょうか!
「最後」がどこなのか、まずは目視しとこ!
とは言っても、実際のところは1個ずつ課題をクリアしていくしかないですからね!
まずは正しい「最後」の位置を把握すること。一度、鏡の前でやってみるか、ビデオを撮ってもらうなどして、「いつもここまで手を伸ばしているけれど、これだと上半身が傾いちゃってるのか〜!」みたいなのを発見して、イメージと実際の動きを結びつけておくといいです。そうすればきっと、漫然とやりがちな片手クロールのドリルとかが、意味の深い練習になってくるはずでーす!(*´◒`*)
[ad#rec300]