自分を分析する力

      2020/01/12

10年近く前の話になってしまいますが、予備校を経営している会社に私が新卒入社を決めたいちばんの理由は、「いろんな選択肢がある中でわざわざ苦労して大学に進んでさらに知的好奇心を満たそうとする意欲ある人たちと、その人たちを応援しようとする人たちの集まる場所に行けば、何かおもしろい出会いがあるのではないか」と思ったからでした。

実際、おもしろい人はいっぱいいて、当時の社員・学生アルバイト・生徒、立場に関係なく、今も交流のある人もいます。おかげで、facebookとinstagramには下手なこと書けなくなったし。旦那氏もこの会社の同期だし。笑

でも残念ながら、そうは感じられなかった人もいっぱいいました。相性の問題、タイミング、方向性の違い、いろいろあるだろうから、良いとか悪いとかじゃないんだけど。



わかりやすく困ったのは、いわゆる「お客様気分」の人。

たとえば、「こっちは金払ってんだから口出ししないで好きな授業を好きなペースで受けさせろ」と主張する生徒とか、「先生はうちの子を合格させるのが仕事なんだから、もし志望校のA大学に合格しなかったら全額返金してもらいますからね」みたいな保護者とか。

これはね、もう、誰が見てもわかるじゃないですか。やべー案件だなと。でもこんなケース、年に1〜2名いるかどうかです。大人な対応をするのみ。気にしても仕方ない。



地味に分布が多く、じわじわと困ったのは、こんなケース。

「授業は言われた通りに受けてます」「単語の勉強もしました」「問題集も5ページ進めました」と進捗は悪くないけど、肝心の成績が上がらない。志望校の過去問も解けない。似た設問で何度も間違える。日頃の勉強の成果がまったく活用できていない。で、当の本人は「たしかにここは間違えたけど、解答を読めば理解できる」「理解はできてるから自分は大丈夫」「つまり、もっと単語やれってことですよね? じゃあ明日から確認の時間増やします」「予備校推奨の単語帳は1周したんですけど、違う単語帳も買ったほうがいいですか?」



うん、、、間違ってはいない、、、

言ってることは間違ってないけど、、、本当にそこか?

もっと根本的な部分を見落としてないか?



ただ単語帳を眺めてるだけ、って人、多いんですよ。ほんとのほんとに、ただ、“眺めてるだけ”。手も動かさなきゃ音読もしない。漫画を読むペースでページをめくる。せいぜいで、隅っこに赤で星マーク書き込んでみたり、マーカーで波線引いてみたりするくらい。地域にもよるんだろうけどさ。私が見てたところでは半数以上がそう。

そのノリで、そこらへんにいる普通の高校生がだよ、部活に文化祭に友達づきあいにと忙しくて、今夜のTV番組や月末に約束したディズニーが楽しみで仕方なくて、家に帰ったらお母さんの「勉強したの?」、お父さんの「最近どうだ?」を聞き流して飯食って風呂入ってロフトで奮発して買った3,000円するトリートメントで入念に髪の手入れして好きな子のインスタ見てハート飛ばして弁当箱を出すのを忘れて寝て、志望校はとりあえずマーチって言ってたみたけどみんながそう言ってるから自分もそう言ってみただけで進学したところでやりたいこととか考えたことないしキャンパスがどこにあるかも知らないし正直マーチじゃなくてもいいしでもまあフツーにやってればフツーになんとかなるっしょ、ってノリの普通の凡人が、そのやり方で、本当に単語が定着するか? 日本語を読むときみたいに、目に入った瞬間でパッと意味が浮かぶ瞬発力は付くか? 複数の意味を文脈から読み取る汎用性が身につくか? いや無理だな

無理なんだわ

まあたしかにその人なりに精一杯やってるのは嘘じゃないんだけど、だからそこは素直に認めるし褒めたい部分なんだけれども、でも、「時間はかけたから」とか「自分なりにはやったから」とか、そうじゃないんだわ。内申点はそれで稼げるかもだけど、大学受験はそうはいかないんだわ。大学受験てのは、全国大会だからな。言ってしまえば田舎の地区予選みたいなもんだった高校受験とはわけが違うのよ。後がなくて血相変えて必死にやってる浪人生なんかもライバルだしな。どんなに時間をかけたところで、時間だけならみんな平等だから、できるやつはどんどん伸びるし、できないやつはさっぱり伸びない。時間があればあるほど、差は開くばかり。だから、やり方を考えなくちゃならない。努力のかけ方をときには変えてみる決意をしなくちゃならない。

君、水泳部で得意種目は平泳ぎらしいけど、平泳ぎもそうじゃなかった?

「週10の練習は欠かさず出席してます」
「キックもやりました」
「プルもやりました」
「大会ではタイム出なかったけど、映像見ればその理由も理解できる」
「理解はできてるから自分は大丈夫」
「つまり、もっとキック強化しろってことですよね」
「じゃ、明日からキックの時間増やします」
「筋トレもしたほうがいいですか?」

それで速くなれたか? すぐに頭打ちになったな? それで嫌になったから大学ではもう水泳はやらないって言ってんだろ? 同じこと繰り返してないか? そんな焼畑農業みたいな生き方でこれからもずっと生きていくのか?



 


 


 


…っていうケースを、予備校だとまあそうは言っても期限もあるし保護者との契約もあるし会社としての目標もあるし一応の「A大学合格!」っていうゴールもあるので、無理矢理にでも座らせてその人に適したやり方を教えてどうにか押し切るってのもできなくないんですけど、それこそ根本の解決になってないし、さらにこれが「趣味の水泳」だとね。どうしたもんかね。

というのを、年末年始、ずっと考えていました。いや、正確には10年近くずっと頭の奥にあるもやもやの波が来ていました。

続きます。

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