マスターズスイマーの練習量は多ければ多いほうがいい?迷ったときの考え方

      2016/04/08

練習量はそりゃ多いに越したことはないというのは、スポーツ経験の有無に関わらずだいたいの人が感じていることだと思うのですが、ある程度のレベルまで達した選手の悩みとして、こういったケースがよく挙げられます。



・これ以上練習量を増やして、ケガ、故障がこわい
・タイムが伸び悩んでいて、練習量増加に意味があるのか悩んでいる



その悩みは、と〜ってもよくわかります!

わかります、が!

「ケガや故障、タイムの伸び悩み」と、「練習量の多さ」って、実はあんまり因果関係にないと私は思うんですよね。

ということで、今日は「練習量に迷ったときの考え方」について!大人のマスターズ水泳だけでなく、部活やクラブチームでの練習に励んでらっしゃる学生の方にも言えることかと思いますので、ご参考に。


そもそも、練習量は多いほうがいいの?

まず前提として、「練習量は多いほうがいいのか?」という点について。

これについては、さほど議論する必要はないですね。どの競技のトップ選手も、大抵、早朝練習のあと学校や仕事を挟んで陸上トレーニングや午後の練習をこなし、体力作りの時期や合宿などではさらに精神面のトレーニングも取り入れ徹底的にやりこんで心身を鍛えているものです。日本代表レベルだけど練習量は地元の小学生選手より少ない、なんて話は聞いたことがありません。



参考になればと思って入江陵介選手の最近のツイートを漁ったら、さらっと恐ろしい量が書かれていました。

7000m、8000mをどのようなメニューで泳いだのかはわかりませんが、どうがんばっても3時間以上はかかるメニューだったのではないでしょうか。今の私だったら、8000mなんて4時間あっても終わらないかもしれないもんね…だって1時間で2000m超えるかどうかくらいのレベルの練習で毎回ヒイヒイ言って、今日はがんばったから明日は泳がなくてもいいかな〜とか抜かしてるもんね…

しかも入江選手、このツイートの後、3月頭から3週間ほどグアム合宿に行っていたようなのですが、合宿前でも容赦なくこの量…。(いや、合宿前だからこそなのかもだけど)

ということで、大会前だとか完全オフシーズンだとか何か理由がない限りは、「練習量は多いほうがいい」、これはまあ正しい情報だと言って問題ないでしょう。


原因はどこにあるのか

さて、「そうはいっても自分みたいな一般人レベルのスイマーがやみくもに練習量を増やしたところで疲労だとか故障だとかなんだとかのデメリットに勝るメリットってあるの?」という不安についてですが、

私の考えとしては前述の通り、「『ケガや故障、タイムの伸び悩み』と、『練習量の多さ』って、あんまり因果関係にない」なので、ちょっと論点を整理しますね。



無理な練習がたたって、ケガや故障を抱え、痛みをごまかしながら練習を続ける選手というのは、プロアマ問わず少なくないもの。肉体的に完成しきっていない中学生・高校生だったら、(言葉は悪いけれど)たかが学校の部活程度でも疲労による故障で何ヶ月も休むことになってマネージャーもどきのまま引退してしまった、なんてケースを実際によく見ましたし、大人になったらなったで、ちょっとがんばるとすぐ腰に来たり肩に来たり。よくあることです。

ただ、それは「無理な練習がたたって」引き起こされたもの。

肩を痛めたのは「練習量が多すぎたから」というより、「肩が弱い自分に合った練習内容ではなかったから」と考えたほうがより正しいですよね。量自体は多かったとしても、負担の少ないドリルやフォーム練が中心だったり、1種目に偏りすぎないように泳いでいれば、防げた故障だったかもしれませんものね。



タイムの伸び悩みについても同様です。

伸び悩んでいるのは、「練習量が足りないから」というより、「タイムを縮めるのに必要な練習ができていないから」のほうがより真実に近いのではないでしょうか。



つまり、練習量は多いほうがいいのだろうけれど自分は増やしたところであまり効果が上がらないのかもしれないと躊躇してしまう心の奥には、「自分に本当に必要な練習がなんなのか把握できていない」、これがあるのではと私は踏んでいます。


修正点はひとつでも、解決策はひとつじゃない

ここで「なるほど!自分に合った練習を増やせばいいんだーっ!」となれば話は早いのですが、実際は「それがわかんないから困ってるんだよ!!!」ってかんじですよね!

まあそんなこと言われちゃったらね、ぶっちゃけそんなのその人の泳ぎを見てみないとこっちだってわかるわけないんだからここにも書きようがないって話なんですけどね、



特に水泳って、水中という特殊な環境下での全身運動なので、たとえば「背泳ぎのキックが沈んでしまう」という修正点ひとつにしてみても、以下のようにたくさんの原因が考えられてしまいます。

・単純に、正しい位置をわかっていない(自分は沈んでいるつもりでない)
・背筋に力が入りすぎている
・太ももに力が入りすぎている
・蹴り下げばかり意識している
・上を見すぎている(姿勢の問題)
・膝が曲がっている
・キックの幅が小さすぎて浮力を生み出していない

などなど。ただでさえ懸念される要因がこんなにある上に、水泳って鏡を見ながらチームメイトの動きと比較するとかが気軽にできないので、自分のどこが改善すべきポイントなのかって自分じゃなかなか気づけないんですよね〜。

コーチやチームメイトを頼るのがいちばん手っ取り早いですが、質問する人のスキルや考え方によってはいまいち飲み込みづらい答えをくれることもあるでしょう。そんなときの、自分に必要な練習を自力で探り当てる方法を書き出していきますね!


弱いと思われる部分の筋力トレーニング・ストレッチ

まずはベタに。

故障する理由も、タイムが上がらない理由も、広く言ってしまえば「その部分が弱いから」です。

気になる部分だけでいいので筋肉を増やしてパワーアップを図るか、よくストレッチをして筋肉を柔らかくする(=筋疲労を除去する&可動域を広げ疲れにくくする)だけで、正直7割くらいは解決しちゃう気がします!


他人の真似をしてみる

自分の中の限られたインプットからでは、答えを具体化・言語化しきれない可能性が大です。

そこで、あえて他人の真似をしてみる作戦。フォームでもいいし、練習姿勢でもいいし、練習前のストレッチや何かしらのルーティン的なものでもいい。

自分と違うものを取り入れてみることで、今まで無意識だった自分のクセ、改善点が見えてくるものです。

あの人みたいにバタフライのキックをしっかり打つようにしたら、そんなの疲れるだけだと思ってたけれど意外とリズムもできるし体重移動もスムーズだしでよかった、ああ自分はずっと腕の力だけでなんとかしようと思ってたけどポイントは腕じゃなくてキックだったんだ〜とか。

あの人と一緒に練習前に10分早く来てプールサイドでストレッチをやるようにしたら、それだけで肩がよく回るようになって疲れが減った、足りてなかったのはパワーじゃなくて準備運動か〜とか。

「人に教える立場になったら自分のタイムも伸びようになった」という話はよく聞きますが、このへんに理由がありそうですよね。


練習量を一度、落としてみる

練習量を増やすかどうかで迷ってるのに減らせったぁどういうこっちゃ!?というかんじかもしれませんが、意外と有効です!

スポーツに限らずですが、人は、多すぎる量を抱えると、それだけでなんだかやってやった気になってしまうものです。冴えない業績にも関わらず「俺は勤続年数も長いし抱えてる部下も多いから偉い、しかるべき給料を貰うべき」と思い込んでる残念上司とか、さして志望校の傾向も研究してないのに「毎日寝ずに勉強してきたからきっと大丈夫」と暗示をかける受験生とか。努力はね〜正しい方向に正しい量をかけないとスキル発動しないんだよ〜しかも大抵そのスキルは確率発動なので外れるときも大いにあるんだよ〜せっかく努力してるの低確率に賭け続けるのってもったいなくない??人生はガチャじゃないんだよ???

過度にやりこんでいると、まぐれヒットも出てしまうし、本来の弱点をかばってほかの部分も崩れてきてしまうしで、自分の本当の課題がなんだかわからなくなってしまうんです。だから一旦、練習量を落としてみて、キックだけとかプルだけの日を作ってみる。それならさして疲れないというのであれば、全体的な量を増やしても耐えられるでしょうし、それでもすぐ疲れるようであればそこだけトレーニングしたほうがはるかに効果的です。そしてもし練習量を落としてみても泳げないほど痛くなるとかだったらそれはもうケガの一歩手前、炎症を起こしているので、接骨院だとか整形外科だとか行ってくださいね!


練習時間外を大切にする

人間の脳は、一度浮かんだ疑問の答えをずっと探し続けています。

職場でちっとも浮かんでこなかったアイディアが入浴中にパッとひらめいたり、昨日のテストで散々悩んだ数学の解法を、翌日の部活の走りこみ中に突然思い出したり。ランチを誘ってくれた彼に昨日の昼ご飯を聞かれてその時は思い出せず適当に答えたけどレストランに行って注文した料理が出てきたら思い出した、そういや昨日もパクチー食ってたわ、みたいな。表面的には違うことをしていても、バックグラウンドではずっと考えてるんですよね。脳みそって健気だよね。

でも、答えが見つかるのなんて、何がきっかけになるかわからない。だから、水泳から一度離れて、いろんなことをやって気分転換することが大事です。ふとした瞬間に、「これ、自分の泳ぎにも言えることだなあ」的なひらめきが降ってきます。精神論ではない気分転換って、ちょっと悟ってる感ありますよね!?気分いいですよ〜!!!


あえて得意な練習に特化してみる

もうさ、あれでしょ?上には書かなかったけど、練習量を増やすことに躊躇してるいちばんの理由はぶっちゃけ「自分の弱点もわかってるし練習量を増やせばいいってのもホントはわかってるけど、弱点克服のための練習はつまんないからあんまりやりたくない、得意を伸ばせばいいんじゃねって実はちょっと思ってる」、これでしょ!?



も〜〜〜ワガママさんだね!?
まるで高瀬!!!



そういうときはコレ!あえて得意な練習だけやる。

いいんですよ!オリンピック狙ってるとか、次のレースに勝たないと仕事がなくなるとかじゃないんですから!つまんない練習を粛々とやって練習に行くこと自体がめんどくさくなっちゃうより、得意な練習を増やしてまずは練習が楽しい!明日もがんばろう!もっと速くなりたい!心をそういう状態に置いておくほうがよっぽど健康的です。

どうせね、そのうちね、気づきます。

「あれれ、自分のこのプルの天才的な強さをより活かすためには、重りになっちゃってるだけの下半身の練習もやはり取り組まなくてはいけないのでは…?」

そしたらそのときやればいいよ!より明確な目的があったほうが取り組む姿勢も良くなるしね!でもあとで「なんでもっと早くから対策しておかなかったんだ〜」って頭を抱えることになるのは自明の理だから、この方法は自己責任だぞ!!!


まとめ:答えは大抵、自分の中にある

答えは大抵自分の中にあるんですけど、それをうまく具体化・言語化できないがために、どういう解決法が自分には望ましいのかが見極められず、悶々としてしまっている。悩みというものの難しさの大半はここにあるでしょう。

それでも歯を食いしばってできることをする、片っ端から挑戦してみる、というのもひとつの手ではありますが、「急がば回れ」という言葉もありますし、どんなに屈強なボディも疲労には勝てないのです。自己分析や状況認識が浅いまま突っ込んでも、まだ身体も小さいのに部活やクラブチームで週7で練習に励む学生さんや、仕事も忙しい中でタイム向上を目指すマスターズスイマーは、疲労に負けて玉砕してしまう可能性のほうが十分にありえます。

うまく頭を使って、毎回の練習の楽しさ、日々成長することの楽しさを忘れずに泳ぎ続けていきましょうね!

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